世論はこうして作られてゆく―「赤ちゃんポスト」という“通称”の罪。ないがしろにされる「こうのとりのゆりかご」の本質論
「赤ちゃんポスト」というのは、あくまでも報道機関が呼称しているだけであって、正式名称は「こうのとりのゆりかご」です。
この「赤ちゃんポスト」という通称が与えるイメージだけが先行してしまい、「赤ちゃんを物として扱うなんて」と、事の本質には遠く及ばないところで、論議や国民感情が沸騰してしまっているようですが、本質はそこにはありません。
各報道機関は、いまからでも「こうのとりのゆりかご、いわゆる赤ちゃんポスト」とでも呼称を正すべきです。
「なまえ」の与えるイメージは非常に大きいです。
ネーミングがウケて爆発的にヒットした商品などが多数あることからも、その影響力の大きさをはかることができるでしょう。
報道機関が、今回の件のような大事な事柄について、ふさわしくない呼称を使ってしまったら。
その影響は甚大です。
物事の本質をも隠蔽し、本来あるべきところとはかけ離れたところで、不用意に世論をあおってしまうことすらあるのです。
議論されるべきところで議論が展開されず、違うところで世論に火がつき燃え上がってしまう。
そんなふうにして「つくられた」世論というのは、非常に危険です。
なお、「こうのとりのゆりかご」に関するわたしの見解は、別のブログの記事「「赤ちゃんポスト」という“通称”に踊らされないでください。事の本質が見えなくなってしまう危険性があります。」に述べました。
【関連記事】
「「赤ちゃんポスト」という“通称”に踊らされないでください。事の本質が見えなくなってしまう危険性があります。」
「「こうのとりのゆりかご(俗称:赤ちゃんポスト)」に預けられた子のその後を考える(1)~養子縁組と里親制度」
* 大川内 麻里のサイト OkawauhiMari.net *
* http://www.okawauchimari.net/ *
「赤ちゃんポスト」設置を容認=熊本市長に見解示す-厚労省
2月22日21時1分配信 時事通信
熊本市の慈恵病院が、育児が困難な親が乳児を託す「赤ちゃんポスト」の設置を市保健所に申請した問題で、厚生労働省は22日、同省を訪れた幸山政史市長に 対し「(児童福祉)関係法規に違反しているとまでは言えない」として容認する見解を示した。同市長は病院側とも調整し、設置許可について最終判断する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000204-jij-pol
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コメント
同じような論点のズレ(というか操作なのかもしれませんが)は、柳沢大臣発言のときにも思いました。「産む機械」発言です。
おそらく「女性として産む機会(チャンス)の有無から推測した人口推移」について論じたかったのだろうと思いますが、あの一言でまったくずれてしまいましたね。
その後のマスコミ報道も、女性議員たちの反応も「機械」の一点張りになってしまって。結局本来話すべきところからはずれたままになってしまいました。
こういうとき誰がこのズレに気づくのかなあと思ってみてたら、橋下弁護士(あの子供5人だか6人だかいる人です)がそのズレについて指摘していて、とても納得のゆく説明をしていました。が、その場でそれにちゃんとリアクションしている人はいなかった。
なんだか「”機械"発言をした人は叩く」のがお約束になっちゃってるみたいな感じでした。そのルールに則って行動しないと無視されるみたいな。
なんとなくいじめの法則に近いものがありました。あの柳沢発言へのリアクション。
かんぐりすぎですかね。。。
投稿: おちよ | 2007/02/23 11:44
★おちよさん★
コメントありがとうございます!(別のブログのほうにもくださっていたコメントのお返事、遅れていてすみません! 追ってお返事させてくださいませ)
論点のすりかえってよく行われていますよね。
政治家の失言って問題ではありますし、たしかに木を見て森を見る(ひとつの言葉尻をとらえて、そこからそのひとの品性や価値観をかんじとる)ことはできますが、でもまるでそのひとつの木がどんどんどんどん枝葉をつけてしまって大木になりすぎているようです。
そーいえば橋下弁護士の少子化に対する考えって、わたしの考えとぴったりおなじなんですよね。(半年ほどまえに耳にしたのですが、いまもおなじ考えでいらっしゃるのであれば)
投稿: 大川内 麻里 | 2007/02/23 12:56
どうもこんにちは。都筑てんがと申します。
トラックバックさせて頂きました。
http://punigo.jugem.jp/?eid=300
以前、自分のブログの少子化関連エントリで
「産む」の後には「育てる」が必ずセットになる訳で、その「育てる」が出来ないから「産めない」…という家庭が増えているのが、少子化の一因となっているんだ
少子化問題は「出産難問題」「育児難問題」「生活難問題」でもあるんだ
…という事を書いたのですが…。
今回のニュースは、その「育てる」が出来ない家庭が、誤って「産む」を実行してしまった事に関する問題なんですよね…。
本当なら「ちゃんと子供を育てられないのに、なんで子供を作るのさ(セックスをするのさ)?」と、父親・母親に問い詰めたいところなのですが…。
だからといって、一度出産してしまったら、赤ちゃんをお母さんのお腹の中に戻して、妊娠・出産を「無かった事にする」事は出来ない訳で…。
かといって、「育てられない」家庭にその赤ちゃんを置いていても、「DV」「虐待」「育児放棄」「過労死」「餓死」「自殺」「一家心中」など、赤ちゃん、家族共に不幸な事態になるのは容易に予想できる訳で…。
そういった赤ちゃんと家族を共に不幸から救うための、今回の「赤ちゃんポスト」っていうか「こうのとりのゆりかご」には、自分は…「消極的賛成」です。
なんだかんだ言って、結局は「子捨て」な訳で、望ましくない事である事には変わりはなく、なんか、数ある「バッドエンド」から、一番救いのある…と思われる「バッドエンド」を選ぶ…みたいな感じで、なんとも悲しい事だと思うのですが…。
…。
……。
………。
しっかし、少子化対策担当の柳沢さんを始め、少子化を考えている方々は、この問題をどう考えているのか…非常に気になります。
投稿: 都筑てんが | 2007/02/24 08:20
>>なぜ人ひとりいて、直接お母さんと対面しない? 人が窓口とならない?人と顔をあわせれば、考え直す人もいるかもしれない。
最初にこの部分を読んで「ちょっと待て…」と思ったんだけど、その後に
>>人と顔をあわせることができない人が多いのではないか
という意見が書いてあって ッホ とした。その通り。仮に対面の機会を与えるにしても「会って意見を聞きたい方は申し出てください」とワンステップ置くべきだろう。なので匿名が基本で、アクションを起こせば意見を聞けるというのが好ましいと思う。「なぜ対面しない?考え直すだろ?」という思考をするタイプの人間はそもそも「わかってらっしゃらない人」なんだろうね。
その「母性神話」によって苦しんでいる人って凄く多いだろうね。親が子供を殺して心中してる人がたまにいるけど、それも母性神話のしがらみに耐えられなかった、というのは一理あるんじゃなかな。日本って子供を適当に産んだら、適当に育てられない国なので、ある時に教育費が払えないどうしよう…とか考えて自分で始末してしまうんじゃないかな。
あと、母性神話というのは日本社会にある「しがらみ」の中の「子供を持つ女性」というフォルダーというか、カテゴリーの中にある「しがらみ」なので、仮に母性神話が無くなっても同じような「しがらみ」に取り付かれるんじゃないだろうか。女性神話の内容って日本社会そのもの。その女性神話は苦しいし、醜いし、むかつくし、消えて欲しいけれども、それは日本よ消えろ、というのと同じような気がする。
なら解決策は無いのか?0
答えは「ある」。冗談抜きにして海外移住しか無いんじゃないでしょうかね。
最近日本を見限って海外移住を考えてる人も多いですし。
フランスの少子化対策とかハンパ無いですし。
って最後に海外移住で〆ちゃってすんません。
投稿: gigababa | 2007/02/25 18:25
2007年02月23日
15:32
Kさん
マスコミ報道は本当に気をつけないとおどらされてしまいますね
情報も与えてくれますがそれをそのままただ取り入れてるだけじゃダメってことですね♪
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2007年02月23日
22:21
Tさん
完璧な親である必要も母性神話もいらないと思いますが、
ポストに預ける人の理由の大部分はどんなのか知ってみたいです。あまりに知識がないので。
子供は単に母親だけでなく、本当は社会全体の子供なのだと思います。
で、ポストの設置と方法の仕方が、社会として、親、子供の立場としてどうしたら一番調和のとれた方法なのか、よくわからないのです。
-------------------------------------
2007年02月25日
04:58
大川内 麻里×創藝舎
★Kさん★
そうですね、受け手も情報を鵜呑みにしてしまわないで、「報道されているのは、メディアというフィルターを通して語られることであって、それはあくまでも事実のほんの一部にすぎない」ことを念頭に、情報を取捨選択していく姿勢が必要ですよね。
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2007年02月25日
05:07
大川内 麻里×創藝舎
★Tさん★
たとえば、これはわたしがご相談を受けた実例ですが、
「子どもができたら結婚しようね」と常々話していて、実際に妊娠。堕胎のできない期間になって、突然男性が行方をくらました、とか。心構えもなかったのに、未婚のままシングルマザーとして生きていく、という道を選ぶのは、容易なことではないと思います。
レイプによって妊娠してしまった友人は、精神のバランスを崩していて、逆に子どもに固執してしまい、一時期「生む」と言い張っていました。結局堕胎しましたが、あのとき生んでいたらどうなっていたかな、と思います。
本当は里親制度・養子縁組が、もっとオープンに一般的なこととして行われていけばいいと思うんですけどね。
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2007年02月25日
15:15
Tさん
誰もいない窓口と専門のセラピストがいるところとあった方がいいのかもしれないなあ、とか思いました。置いてくる気持ちも大変なことですから。
養子縁組などはほんとにもっとオープンになるといいですね。
よく思います。
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2007年02月25日
16:04
大川内 麻里×創藝舎
★Tさん★
たしかにそうですね、話を聞いてあげることが、まず必要なひとって多いでしょうからね。
まずは慈恵病院1軒からはじまって、今後ほかの病院でも導入が検討されてくるでしょうし、その過程で運用方法も試行錯誤されていくでしょうね。
それよりも、そういう病院や施設が増えていくよりも先に、養子縁組がもっとやりやすくなっていけば、本当はいいですけどね。
投稿: (コメント転載) | 2007/04/24 10:41