出版業界の仕事とは?(1)――書店で販売されている一般的な本の流通の仕組み
時期も時期だし、リクエストもたくさんで、ずっと書かなきゃ書かなきゃ……と思いながらも、機会を逸していた「出版業界ってどういうところ?」「誰がなにを担当して、どういうフローで仕事を進めていくの?」「採用の条件は?」「勉強しておくと役立つこと、知っておいた方がいい実践的なこと」などなど……といった疑問にお答えしていきます。
まずは前置きをさせてください。
この連載は、四大の新卒だろうが、高卒だろうが、既卒だろうが、未経験者だろうが、大検だろうが、短大卒だろうが、とにかくそういったことにとらわれずに、出版業界に興味があるひと、あなたとわたしのこの拙文とが出会ったのも、なにかの縁です。ぜひご一読ください。
また、情報としてはできるだけ平均的なこと、多くの出版社が取り入れている汎用しやすいことを中心として述べながら、例外も入れていくことで、幅広くさまざまな出版社の仕事の進め方をご紹介していきたいと思います。
このことからいえるのは、出版業には基本的には決まりきった型はなく(常識・良識・儀礼の部分は別として)、仕事の仕方、方法論は、基本的に自分でつくりあげていく場でもあるということでしょう。
ただ、懇意にしていただいている同業者のみなさまや自身の経験など、主として、自分や周囲の実体験を元に書いているということは否めないので、なにか「こういうところもあるよ~」「ウチではこんなことも~」などといったことがありましたら、ぜひコメントしてください! 至らぬ点をカバーしていただけるとうれしいです^^
また疑問やわからないことなどがあったら、そちらもどんどん気軽にコメントしてくださいね、どんなに小さなことでもいいから、わかる、知るということは、ひとにはプラスになることですからね♪^^
……てか、ちなみに、わたしのブログ、久しぶりの更新となったしまいました。ゴメンナサイ、人生最悪のアレルギー症状で入院していました(詳細はコチラ)。まさか皮膚科で入院することになろうとは。
さて、前置きが長くなりましたが、本題です。
日本には、いま大手、中堅、零細、含めて、約4000~5000社の出版社があります。
いま、あなたが手にしている本。なんでも構いません。書籍、雑誌、漫画、ムック(※)など。
これらが刊行されてから、読者の皆さんの手に届くまでを簡単に追ってみましょう。
(※ムック[Mook]とは、雑誌[Magazine]と書籍[bOOK]を組み合わせた造語で、その名のとおり、雑誌と書籍の中間にあたる媒体です。主にA4やB5、A5も多いですね(もちろん、A4やB5、A5の書籍もあります)。
書店でよく見かけませんか、雑誌でも書籍でもなく、なんらかのテーマの本で、3ヶ月程度の短期間で書店からなくなっていく本を? あれのことです。
ちなみに、これは不文律ですが、「書籍=ある程度の長期間、書店に置かれるもの」とされてはいますが、現実的には書籍でもごく短期間しか書店に置いてもらえず、返本されてしまうものもあります)
本は書店、あるいはAmazonのようなネット書店で購入できますね。
まず、そういった本の流通経路を簡単に説明します。
出版社→出版取次会社(※)→書店→読者
通常の本の流通経路は、上記です。もっともスタンダードでストレート。
(※取次会社というのは、東販や日版に代表される、いわば出版社と書店をつなぐ卸売り業者のようなもの。取次会社を卸売業者とすると、書店は問屋にあたります。
ちなみに、出版社から取次への卸値は、出版社によって異なります。だいたい中堅(……という表現も曖昧ですが。先述のように出版社もピンキリですから)、まぁみんなだいたい社名は聞いたことはあるけれど、数ある出版社のなかでも「超大手」というわけではないよねくらいの出版社で、6掛け程度。この掛け率は、歴史ある老舗の出版社の方が高いという傾向にあり、7掛け台のところもあります)
つまり、大まかに言うと、“出版社”は、まず“出版取次会社”“書店”“読者”その三者に訴えるモノをつくらなければならないんですね。(ほかにも関所^^;はありますが、それは次回にでも後述します)
■第一関門の“出版取次会社”。「果たして、この本を卸して売れるものか、それだけの価値あるものか」
■次に“書店”。「書棚の限られたスペースをどれだけ割く価値があるか、スペースを割くに値するほどのものか」(書店さんによっては、あまりにもひどいモノの場合、開封せずに返本してしまうことさえあると聞きます。粗雑なモノづくりをしたのは出版社ですから、文句は言えませんね)
■そして、最後に、大切な“読者”。「この本は、自分にとって必要なものか、この本は自分になにを与えてくれるだろうか。自分のほしい言葉や情報が、この本には載っているだろうか」
しかしながら、全国に4000~5000社ある出版社のなかには、上記の流通ルートを通らない、あるいは通すことができない出版社も多くあります。そういった出版社はどうしているか、主なものを下記に例示します。ここでは、とりあえず自費出版は除いて、商業出版に限ってお話します。
①電子書籍
PDFファイルにしてパソコンに取り込めるようにし、画面上あるいはプリントアウトしたものを読むという形態。また携帯電話で読むという形態(iアプリなどを使うことも)。読み物が書店から読者の手に直接渡ることを可能にしました。
大手では新潮社ほかが、いち早く取り入れ、また零細出版社などでも行なっていることが多いようです。
私見では、電子書籍どこまで根付くかに疑問があり、またこれが一般の紙媒体の存在を脅かしたり、取って代わられたりすることは、すくなくとも現状ではまだないと考えています。
②発売委託
出版取次会社に“出版社”として認められ、口座を開設して取引きをしてもらうのは、実はそう容易なことではありません。
そこで、出版取次会社とすでに取引きがある業者を通して、本を流通させるのです。このとき、発行元が、その本をつくった出版社で、発売元がその仲介業者になるのです。
この仲介業を専門にしている業者もすくなくありません。
ただし、往々にして、こういった出版社は、取次や書店への営業力がいまひとつだったり、だいたい中堅クラスの出版社で売上の5%ほどはかけるという広告宣伝費の捻出も難しく、泣かず飛ばずといったところが多いようです。
というわけで、簡単ではありますが、本の流通の仕組みを大まかにお話してみました。
次回は、出版社のなかのさまざまな職種、編集者を支えてくれるひとたちについて、お話してみたいと思います。
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コメント
久しぶり。入院とかで予定がちょっと狂ってドタバタして大変だっただろうな…31日まで仕事だったりして。
この出版の事は俺が前に聞いた事ですね。前も感じていて、今回も感じたんですが、やっぱり出版取次会社というのが邪魔な気がして・・・既得権というか。
逆に出版取次会社を通さないといけない不自由さってありますか?出版取次会社がなかったらあんな事できるな…というのはありますか?
あんま言いたくなかったら放置で構いません。
投稿: gigababa | 2005/12/30 10:10
どうも~!
おっしゃるとおり、んー、まぁふつーに「お正月中にやる仕事」ってのがあります(笑)。下請け業者だから、年明けに云々っていうのが多いから、人様が休みのときに仕事するのはふつー(その分、人様が働いているときに遊べるのが特権♪)なんですが、やっぱり入院はイタカッタ。
しかしながら、「お正月中にやる仕事」がありながらも、ネットの調子がわるくて最悪です!って、たまーにこうして調子よくなるとブログやってんだから、ね(笑)
取次がなかったら……そうだなー、まずデメリットとしては書店営業が大変になるよね。出版社が書店に一店一店足を運んで「この本置いてください」ってまわらなきゃならなくなってしまう。手売りだよね。
ただでさえ、地方の小さな書店には出回らない、都心の大型書店にしか並ばない本があるのに(←言葉はわるいけれど、取次に「相手にされないような」出版社の刊行物)、その傾向がますますもって強くなるだろうと思います。
メリットとしては、どんな本でも出すことはできる(さまざまな前提条件をとりあえず抜きにして)、市場のバランスなんて知ったことかと好きなように好きな本を出せる……けど、結局それって自己満足的な本であって、他人を喜ばせることはできないじゃないかって。賛否両論だろうけれど、自分が喜んで満足しても、ほかの誰かのためにならなきゃ、本って意味のない存在かもしれない。
取次っていると邪魔だけど、いないといないで困る^^;んだよね~。
やっぱり市場のバランスをとってくれる存在、著者や出版社、編集者たちが、自己満足に走らないためのブレーキになってくれる存在というのは、いずれにせよ、(たとえ取次というかたちではないにしても)必要だなぁー。
投稿: 大川内 麻里 | 2005/12/30 17:46