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著者との共感性と信頼関係

これはゴースト立てなきゃどうしようもないかな……と、正直悩んでいた著者がいた。

わたしは、著者に会って、一度話をすれば、ズバッと編集方針を立て、ケースバイケースなのだが、いろんな手法で編集に臨んできた。しかし、今回ばかりは、そうはいかなかった。「著者とこのテーマについて、それこそ何度も夜通し語り明かしながらつくる」――情けないことに、編集方針とも言えないようなものしか、わたしには見えなかったのである。

そんな著者とその企画のテーマについて、雑談めいたことをメールでやりとりしていたとき、ふっと光が見え、下記のようなメールを出してみる。

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すみません、リライトの方向性に光が見えたものですから、いただいたメールの
内容にはほとんど触れぬままのご返信となってしまうやも知れませんが、何卒ご
容赦ください。

リライトの方向性なのですが、こうして私にメールをくださるような感覚でのぞ
まれるといいのではないでしょうか。
少なくとも、いただいたメールは、先をどんどん読まされてしまうものでした。

おそらく、〇○さんの意識のなかに、「大川内は、話のわかる編集者である」と
いうのがあって、それがメールをそういった文章にさせたのではないでしょうか。

いまの原稿には、“原稿”という構えが見える……「読者はわかってくれるかな、
わかってくれないかな、でも言いたいことはこれだしな」というような。
無意識下にでも、それがつっかえ棒になっていると、やはり読者にぐいぐい読み
進めさせる原稿にはなりにくいと思います。

実際は、読者は〇○さんの考えに賛同できるところもあれば、できないところも
あるでしょう。
でも、言ってしまえば、そんなこと関係ないんです。
原稿の向こうにいる人は、すべて理解者である――勝手でもなんでもいいので、
そういった自信を持って書き進めていただきたいと思います。
文章をメールそのままにということではなく、感覚としてという意味でです。

いかがでしょうか? 〇○さんのなかで、何かが変わりそうな予感はございます
でしょうか?

もし、その予感があるようでしたら、書きやすいところ、どこか一章分でも構い
ません、リライトされてみてはいかがでしょうか?

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そうしたところ、このような返信が。

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メールありがとうございます。とってもうれしかったです。

光が見えたのはたぶん私のほうです。
ああ、そういうことなのか!と何かスコーンと抜けるような感じがしました。

一番最初に書いたものは、もっと「私を分かってほしい!」に満ち満ちており、
我ながら鼻つまみもので、その部分をすべて削除しました。

たったひとつのことを伝えるためであって、「私を」分かってもらうためではない、
むしろ読者の自由を考えれば、著者とは誤解される存在であり、
そのために書くようなものだ、と今は考えています。

一方で「あの学者が読んだらどう思うだろうか」「こういうツッコミが来たら困るな」
などなど人の目を気にしてびくびくしている部分があるのも正直なところ。

でも、麻里さんが言うように、関係ないですね。
たぶん、私が一番求めていた言葉が、今朝いただいたメールにあったと思います。

思ったのですが、先日少しだけ話したきりで、
まだお互いのことをよく知らないのですよね。
でも先日お会いした感じ、昨日のメールで、
確かに「話の分かる編集者である!」と信じきっています。

それはなぜかというと。

先月くらいまで、この原稿を評価してくださっていた
他の版元の編集者と何度か会って、話をしました。

でも結局肝心な部分が分かってもらえない。

つまり、〇○○○(←企画の根底の根底)がわからないって言うんです。
私がそこを書こうとしてるんじゃん、と思いながら、
これ以上言っても無理かなと無力感を感じていました。

麻里さんはそこを体験して理解してくれている。
俄然伝わるものが違う!と思うのです。

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よし、がんばろう。

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